詠み人知らず

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その時、一人の子供が声を上げました。

「王様は裸だ!」

王様が詐欺師に着せられていたのは愚か者には見えない服でした。

子供に続いて大人達も次々に声を上げ始めました。

「王様は裸だ!王様は裸だ!裸だ!裸だ!」

大人に続いてへそまがりの哲学者も

声を上げました。

「いや、王様は服を着ている!己と家臣の虚栄やプライドという名の服を着ている!」

哲学者に続いて感性豊かな詩人も

声を上げました。

「いや、王様は服を着ている!王の威厳とこの国の法や歴史を着ている!」

教師も、音楽家も、料理人も、掃除婦も…

皆、次々に自身が見えるものを声高に叫んでいきました。

愚かさとは、

賢さとは。

「見えない」とは、

『見える』とは。

◼️透明

5/22/2024, 9:54:36 AM