NoName

Open App

ポタリ、ポタリ。

あぁ、まただ。

時々、彼は零れるように泣く時がある。

コップの縁から溢れ出すように。コップに沿って伝う”雫”のように。

それなのに、無邪気に笑うんだ。

泣いている時でさえ、声も何も変わらない、いつもと同じ顔で。

それがとても哀しくて、痛ましいのに、

綺麗だと思う自分が、何よりも恐ろしくて仕方なかった。


4/21/2023, 1:09:39 PM