─放課後─
今日も授業が終わり、部活が始まる。
一目散に教室から出て、職員室へ向かった。
「失礼します。美術室の鍵を貰いに来ました。」
先生はあまり居なかった。
静かに鍵を取って、礼だけして職員室を出る。
私の学校は美術室が三階にあるため、
階段を駆け上がり、美術室前まで急ぐ。
準備室も美術室も鍵が似ているため、
二つの鍵のどちらかが合うよう、交互に試す。
やっとのこと扉を開けると、
秋でも暑いと感じるほど空気の流れが悪かった。
その流れを変えるため、窓を全部開ける。
新しく涼しい風が美術室を変える。
その風には、ほんの少しだけ金木犀の香りも混じっていた。
この秋に染まった美術室を感じる為に、今日は急いで美術室に来た。
縦長い美術室の一番後ろから、見渡す。
夕暮れに染まり、金木犀がふと香る。
誰も居ない、私だけの美術室。
この時期の美術室が、私を魅了する。
10/12/2023, 7:24:00 PM