『こんな夢を見た』
「ねぇねぇ、聞いて!今朝ね、久しぶりに夢見たの。」
二人で昼休憩に外へ出て、注文した青椒肉絲が来る前に、彼女が嬉しそうに話し掛けてくる。
「どんな夢?」
「あのねぇ、好きな俳優さんと街で偶然会ってね、ファンなんです~!とか話してたら、彼の出してるお店に連れてってくれて、Tシャツとかグッズ買っちゃった!」
「グッズ買わされたんだ。」
「いいじゃん!すっごい嬉しかったの~」
いつになく幸せそうに目がとろけている彼女の夢にちょっと嫉妬して、俺は茶々を入れる。
「俺は出てこなかったの?」
「うん。出てこなかった。起きてもすごい幸せ気分だった。」
「ふーん。」
「ねぇ、最近なんか夢とか見た?」
「俺?君の夢なら見たよ。」
「えっ、嘘。どんな?」
「内緒。」
「え~、なんでー。」
「エッチな夢。」
「なにそれ。ただの欲求不満じゃん!」
「そうかも。」
「もー、やらしい~!」
「でも、幸せだったよ。」
「なんか変なことしたんでしょー!」
ふふっと笑ってごまかした頃、青椒肉絲が到着する。彼女はすぐにご飯モードになった。
「いただきます!」
本当は、エッチというより、彼女が可愛くて可愛くて堪らないという幸せな夢だったけど、恥ずかしいので俺の心の中だけに留めておくことにする。
1/23/2023, 12:33:09 PM