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「みてみて!」
無邪気な声のする方へ視線を下げると、小さな手が差し出されている。
「ゆびわにしてみたの!ぴったりサイズよ」
精一杯広げた指のひとつには、食パンの袋を留めるプラスチック製のあれ。確かバッグなんとかいう名前の……そうだ、バッグクロージャー。今朝最後の一枚をトーストした時に袋と一緒に捨てたと思っていたが、どこかに落ちていたようだ。
「わぁ素敵!ぴったりね!」
見るからにフィット感の薄い指輪だが、彼女にとってはぴったりサイズなのだ。可愛らしさに笑いそうになりながらも、大げさに拍手をして見せる。それを見て満足気に走り出した背中の向こうには、お菓子の空き箱や変わった形の石、シールを剥がした後の台紙などが棚の上に飾られている。

また捨てられないものが増えたな。

困るような愛おしいような。いや、親としては正直困るが優位だが。
彼女は今日も彼女だけのキラキラに囲まれている。

8/17/2022, 2:26:39 PM