白灰

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『眩しくて』


朝、カーテンの隙間から溢れる光に起こされる。

下の階からお母さんが『ご飯だよ』と声をかける。

私は伸びをし、階段を降り、テーブルに着く。

朝ごはんはホットケーキ。

テーブルを家族みんなで囲み、

朝のニュースを聞きながら『いただきます』と...

そんな日常が羨ましくて————-


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『半袖』


僕は彼女を誘い旅に出た。

2人きりの電車。トンネルをくぐり、光が広がる。

蝉の鳴き声、揺らぐ地面、子どもの声。

駅から歩き、雑貨屋へ。

かき氷には懲りたので、アイスを買い、

外の椅子に座る。

———僕は、キミが好きだ。

彼女はアイスを咥え、袖が上がる。

———今年の夏も、花火を見よう。

黒髪と服を貼り付け涼しい笑顔で笑いかけてくる。

———-来年も、そのまた来年も。
    ここで夏を迎え入れよう。

全ての音が小さくなる。

———-僕は、キミが好きなんだ。

口が動かず、アイスだけが溶けていく。

いつの間にか居た子供たちが走り通り過ぎて行く。

———-夏休みは、始まったばかり。

7/31/2025, 8:24:51 PM