『ねぇ…お兄さま。私、運命の人に巡り会いたいの』
そう言って、妹はこの世を去った。この言葉が、彼女の最後の言葉だったのだ。なのに俺は、妹の言葉を否定した。否定で返してしまったのだ。
俺は、否定したことを……妹の言葉を肯定してあげなかったことを、後悔している。だけど、後悔したところで妹は戻ってこない。戻ってこないのだ。
⸺しかし・・・・・・。
「貴方、どうしたの?」
政略で婚約した十も下の女性に、妹を幻視するのは何故だろうか……?
*
「”前世”から会っていたなんて、本当に運命だね。お兄さま…♡」
【巡り…会った…?】
10/4/2024, 7:19:46 AM