朝、寝ぼけ眼は雨音で開いた。
世界がまだモノクロ世界に沈んで見える。いつもより幾分色づきの悪い朝は、しっとりと湿って街を揺蕩っていた。
この後の自転車登校を思ってげんなりしつつ、息を吸い込むと身体中に満ち溢れる雨の香りに心を少し踊らせる。
梅雨前線が日本に影を落とし、寝転んだ日だった。
初夏はいつも、梅雨をお土産にやって来る。
杪夏を目指して雫の梅は枝を伸ばす。
梅の花が散るように涙を溢す梅は、私たちが思う以上に泣き虫だから。
せめて、笑って迎えてあげればいいと思う。
6/1/2024, 3:14:15 PM