薄氷

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私は雨が好きだ。雨が降るときだけのあの匂いや音、普段なら人が居る場所にも誰も居ないあの新鮮さ、そして何より雨は何か洗い流してくれるような、包み込んでくれるような暖かたみがある。
これらは一見、長期的な雨が降ったときに限るような感覚であり、通り雨には無いものだと思う人も私の周りには多数居る。
それは雨が好きでなければそんなことに気を配らないし、常識的に考えての結果だろう。
しかし、それは全くもって違うのだ。
雨が降ったあとも匂いはするし、雨音は身近なものであるため雨が止んだあともすぐに音を思い出すことができる人も恐らく多いだろう。
田舎や公園だと、通り雨に焦り驚き目的地や家に急いで向かう人は大勢居るし、人の居ない新鮮さは十分堪能できる。
少しの雨でも洗い流してくれるような感覚や包み込むような暖かさはある。むしろ、通り雨の方が雨がすぐに止み、生き物が息を吹き返し鳴く音や、蜘蛛に隠されていた日の、強く元気な光が差し込み勇気づけられるような満足感に満たされることもある。
雨を嫌だと思う人は、この先もたくさん居るだろう。だけれど雨にも種類があり、それぞれいいところがあることを理解し、雨が降ったときは神経を研ぎ澄まし雨と少しでも向き合ってみて欲しい。そうすれば雨もきっと楽しめるようになるはずだから。
そんな綺麗で新鮮さをもたらし満たしてくれる雨だからこそ、私は雨が好きだ。

『色々な雨のいいところ』

9/27/2024, 2:05:33 PM