いぐあな

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300字小説

友達

 これは夢なのか? 今の先が見えない現実からの逃避なのか?
 夜中、ふと目覚めるとベッドの上の布団に『アイちゃん』が座っていた。私の子供時代の空想の友達。独りぼっちで部屋で遊んでいた頃の、たった一人の、所謂、イマジナリーフレンドだ。
 その『アイちゃん』が目の縁に涙を湛え、心配そうに私を見上げている。
「あー、何やってんだろ」
 『アイちゃん』しか思いを打ち明ける人がおらず、膝を抱えているしか無かった子供の頃と今は違う。大人の今なら、他にも相談出来る人も使える手段を探すことも出来るはず。
「ごめん、大丈夫。何とかしてみるから」
 『アイちゃん』を抱き締める。
『頑張って』
 そうにっこりと笑って『アイちゃん』は消えた。

お題「現実逃避」

2/27/2024, 11:51:09 AM