相合傘 #8
飛雨が降っていた放課後図書室で
あの人と二人きり。
隣で囁きながら内緒話をするように
話した。
幸せだった。
彼はふと明るくなった外を見た。
「雨もう止んだね。
そろそろ帰ろうか。」
彼が気づいてしまった。
気づいて欲しくなかった。
彼を引き止めていた遣らず雨よ
どうして止んでしまったの。
私は彼と並んで明るくなった空から目を背け
地面を見ていた。
そしたら意図せず水たまりに写った青空が
見えてしまった。
ああ今にも涙が降りそうだ。
「風が強いね。」
「…そうだね。」
すると彼は
「風で花が降ってきそうだから。
一緒の傘に入らない?」
その一言で私の顔が晴れました。
6/19/2023, 11:22:07 AM