愛情の種類は多岐に渡る。
家族愛、自己愛、庇護愛、友情愛。
好きなことに対する「好き」という気持ちも、愛情に含めるのだろう。
だけれど、キミに向けるこの「愛情」は、そのどれにも当てはまらない。
(……欲しい。)
キミのその艶やかな髪が欲しい。
手に吸い付くような、滑らかな肌が欲しい。
心地好く鼓膜を揺らす、その声が欲しい。
快晴の空を閉じ込めたような、穢れなき瞳が欲しい。
髪の一本から爪の一欠片まで、キミという存在を構成する全てが欲しい。
(欲しい、欲しい。)
キミが他の誰かと喋っているだけで気分が悪い。
輝くような笑顔を他の誰かに向けているだけで我慢がならない。
その瞳に他の誰かを写しているだけで、腸が煮えくり返る。
キミに、オレ以外の誰かを見てほしくない。
歪んでいる、それはわかっている。
こんな感情、キミに知られたらどうなることか。
気味悪がって離れていくだろうか。
近づくなと拒絶されるだろうか。
例え拒絶されたとしても、オレはキミを閉じ込めて、一生外に出さなくしてしまうだろうけど。
あぁ、キミが笑っている。
オレ以外の誰かを、その双眸に写して笑っている。
何がそんなに楽しいんだ。
どうしてオレ以外の奴を見ているんだ。
どうして、オレを見てくれないんだ。
なぁ、なぁ。
「キミは、よく笑うな。」
[愛情]
11/27/2023, 12:54:31 PM