夢が醒める前に
最近、高嶋の夢を見ることが多くなった。
彼奴とまだ戦場にいた頃の夢。
夢の中で笑う高嶋は、いつもどこか哀しそうな面を見せる。
それは、まるで俺のあの日の愚かさを表しているようだった。
────────────────
時には、あの日、俺が高嶋と話した最期の夢を見る。
『これは命令だ───西浦』
あの言葉が今も耳から離れない。
いつも、泥だらけで俺を見る眼を見る度に、いつも、
やり直せたならと、そう思う。
夢の中で、現実の自分の思い通りにいかないのは。
己の無力さか、それとも罪を自覚しているからか。
自分の願いではなく、記憶を映し出した鏡なのか。
それでも、どうか、この夢が醒める前に、
もう一度名前を呼ばせてくれないか。
────────────────
自創作 硝煙は笑う より
いなくなった人 高嶋
夢を見る人 西浦
3/20/2024, 3:15:08 PM