『もしも未来を見れるなら』
夕方、その占い屋は路地裏にひっそりと店を構える。白い布を掛けた小さなテーブルと椅子が1つ。
時々薄明かりの中で、お客と2人額を寄せ合う姿が見えた。そこを通る度に気になる自分が居る。だったらいっその事、一度見て貰ったらいいじゃないか。
「いらっしゃいませ」
椅子に座り、占いは初めてだと告げると「では、未来を見ますね」占い師はそう言い、何本もの長い棒をじゃらじゃらと鳴らした。「2年後にはご結婚され、」そうですか!「お子さんは2人です」そうですか!
それから‥と占い師が続ける。「良き事もあれば
悪き事もございます。そちらはどうしましょう?」確かに。悪い事だってこれから起こる。だが急いで知る必要は無い。今は明るい未来が見られればそれでいいのだ。
4/20/2024, 7:03:38 AM