「クリスマス、誕生日、バレンタインにホワイトデー、それからお年玉。ハロウィンは違うか」
そもそも「プレゼント」を渡すタイミングって、1年の間に何度あっただろう。某所在住物書きはお題の通知文を見ながら、ふと考えた。
結婚記念日は知らない。告白記念日も考慮しない。
年中行事としてである。リア充は末永く爆発するのがよろしい。
「……プレゼント行事、冬に一極集中してる説?」
12月、2月と3月、1月。春と夏と秋のプレゼントは何があったか。物書きは記憶をひっかきまわして、
「あっ、母の日と、父の日……?」
自身の親にプレゼントのひとつも贈った記憶の無いことに気がついた。
――――――
前回投稿分からの続き物。
「ここ」ではない、どこかの世界に、動物のビジネスネーム制を採用している職場がありまして、
そこの経理部のコタツの主を、猫の無毛種、「スフィンクス」といいました。
このスフィンクス、前回投稿分で、まんまと稲荷の子狐から「ゆずの香り」のするお酒を手に入れまして。上機嫌も上機嫌。
同期で友達の収蔵品保護課勤務、「ドワーフホト」も経理部のコタツに招いて、
ふたりして、酒盛りを始めることに。
スフィンクスが勤務するこの職場、
その日の仕事さえ完璧に終われば、他者に迷惑かけない程度に、お酒を飲んでおつまみ食べて、
そのまま、帰宅が許されちゃう職場なのです。
なかなかホワイトなパラダイスですね。
だって「ここ」ではない「どこか」の世界なのです。気にしない、気にしない。
さて。
経理部にお呼ばれしたドワーフホトです。
ドワーフホトと5人の助手とで、みんなでわちゃわちゃ仕事を終わらせて、確認も完了して、
はい、お仕事終了!経理部に急行、
「あ、まってぇ!」
友達のスフィンクスからお呼ばれのドワーフホト。
せっかくお呼ばれしましたので、お礼のプレゼントなど、いそいで用意です。
「スフィちゃん、寒がりだから、コレかなぁ〜」
それは、購買部でその日入荷したばかりの、美味しい美味しいチキンスープでした。
生姜をベースに、ゴボウやタマネギのエキスがたっぷり。フリーズドライ個包装で調理も簡単。
鶏肉とレンコンのつみれも具として入っておるので、あとはお湯を入れてちょっとかき混ぜれば、
最高ポカポカ、ほっこりチキンスープの完成。
「よぉーし。バッチリぃ」
プレゼントもバッチリ!
準備万端、整えまして、ドワーフホトはスフィンクスが待つ経理部のコタツへ向かいました。
ドワーフホトが経理部のコタツに到着すると、
同期で友達のスフィンクス、早くも酒盛りを始めておりまして、稲荷神社の子狐にトクトク、お酌をさせておったのでした。
「おぅ。遅かったじゃねぇの」
コタツの上にはカゴ盛りのミカンと、ポテチとジャーキーと即席のおつまみセット。
酒盛りはどうやら突然開催が決定したようで、
焼き鳥やおでんみたいな軽食は、ひとつも、用意されていませんでした。
まぁ、そりゃそうです。
だってその日は子狐が、何の予定も予告も無く、
カモがネギ背負ってならぬ、子狐が酒のボトル背負って、スフィンクスの職場にやって来たのです。
「丁度良いじゃーん」
ベストタイミング!にっこり笑ったドワーフホト、購買で購入してきたチキンスープのフリーズドライを、さっそくスフィンクスにプレゼントです。
「一緒に食べよーよ。体ぽっかぽか、ぬっくぬく。オニオンチキンスープだよぉ」
当然のようにスフィンクスのコタツから、魔法瓶タイプのポットとスープマグを取り出すと、
ドワーフホト、それにプレゼントのフリーズドライをポンポン落として、タパパトポポ、トポポ。
2杯のぽかぽかチキンスープを、すぐに用意してしまいました。
「このスープに、少しゆずの酒入れて、ゆず風味にしたら最高じゃねえか」
「お酒の風味も入っちゃうよぉ。素直に刻みゆず入れた方が安全だと思うー」
「知らね。投入ッ!」
どんちゃんちゃん、どんちゃんちゃん。
ドワーフホトのチキンスープと、稲荷の子狐のゆず酒とで、2人の酒盛りが本格開催。
ドワーフホトが持ってきたプレゼントは、その日のうちに全部、2人の胃袋の中に消えましたとさ。
12/24/2024, 4:07:25 AM