「凄く月が綺麗だね」
私は美しく白に近い輝きを放つ月を見上げて言った。
「うん、そうだね」
彼氏は、微笑んで私に同意する。
「月っていつも綺麗だよね。三日月も、満月も、半月も。僕は好きだな」
「私も!月って、どんな月も見てると癒やされるよね?」
私は、彼の言葉に頷く。
今日は彼氏とデートの帰り道。
二人共何となく帰り難くて、ゆっくりと歩きながら家へと向かっていた。
「今日楽しかったよ、ありがとう」
彼氏が私を見て言う。
「私こそ、とっても楽しかった!また一緒に出かけようね」
私が笑顔で応えると、彼氏も笑って頷く。
それだけのことが嬉しくて、幸せで、有頂天になりそうな、ウキウキした気持ちになる。
「月って君みたいだよね」
不意に彼氏が言う。
「私みたい?」
「うん、色んな表情を浮かべるけど、どの君も僕は好きで、飽きないし、美しいって思うよ」
「あ・・・ありがとう」
私は不意打ちの褒め言葉に、かぁぁっと赤くなってしまう。
「私も、どんなあなたでも大好きだよ」
私がそう返すと、彼は私と繋いでいる手をギュッと強く握る。
「どうしよう。このまま、帰りたくなくなっちゃったよ」
彼の言葉に私も胸がキュンキュンして、止まらなくなる。
「このままずっと時が止まればいいのにね」
そんな事を言って見つめ合う私達。
全く進まない私達の帰り道を、月はいつもと変わらない優しさで照らし続けてくれていた。
1/16/2024, 12:32:46 PM