ばに

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 前回は、存在しない洋楽バンドの、存在しない曲の、存在しない歌詞の“日本語訳”を投稿しました。
 Great Green Gingerbread は、スコットランド出身の若者4人からなるロックバンドという設定ですが、残念ながら今後の登場予定はありません。気が向けばキャラデザをまとめたり、メロディーをつけたりするかもしれませんが、みなさんの目に触れることは恐らく無いでしょう。
 こんな風に、生まれただけのキャラクターや設定が、これまでにいくつもあります。

 子どもの頃、夜眠れないときは、ひとりでごっこ遊びをしていました。暗い部屋の中、テーマパークのペンライトを照明に、お祭りの屋台で買ってもらったガラス細工や、小さな動物のフィギュアや、ただの文房具を役者として、拙い寸劇を楽しみました。あるときは冒険もの、またあるときは恋愛もの、時々はサスペンスもやりました。
 彼らを動かしているのはわたし、本来は動きも声もない無機物ですが、わたしの中ではアニメーションのように再生されていました。イマジナリーフレンズとは少し違うかも。ただ、彼らには過去も現在も未来もあって、確かに生きているように感じられていました。

 わたしにとって架空の話を書くというのは、その延長かもしれません。物を使わないだけで、やっていることは同じ。
 便宜上、自分が生み出したキャラクターと言ってはいますが、ゼロから創るというより、夢を思い出す感覚に似ています。現実に会ったことがあるわけではなく、どこか別のところから存在を借りてくる感じ。
 彼らは昔から、今も、これからも、わたしが生きていてもそうでなくても関係なく、ずっと続く物語の住人なのだと思います。飛び抜けて明るいハッピーエンドばかりでないのが、妙にリアルでいやですね。

 これまでわたしだけが思い出して楽しんできた物語を、いつか他の誰かにも伝えられたらいいなと思っています。本という形ではないかも。音楽や映画かもしれないし、なんならテーマパークかもしれません。なんて。そしたらどこかのショップでGreat Green Gingerbreadの『fall for you』を流して、そのへんのすみにガラス細工でも置いておこうかな。



「暗がりの中で」「もう一つの物語」「懐かしく思うこと」「理想郷」「永遠に」

11/2/2024, 3:37:29 AM