とんぼが、葉の先に止まった。
どんぐりが転がっていた。
木の葉が赤く染っていた。
冷たい風が吹く。
半袖の人ももう見なくなった。
色んなお店でハロウィンの特集をしている。
そして、秋の匂いがした。
「テスト勉強、してる?」
「いや全然?笑」「だよな」
重いリュックを背負って歩く帰り道。
近くの公園に寄り道することに。
「ブランコとか何年ぶりだろ」
中学校に入って、気づけば外で遊ぶことも無くなっていた。
あの頃より、ちょっと近く感じる地面。
ちょっと窮屈になったブランコ。
溢れかえる懐かしい思い出といっしょに、
未来の不安が募った。
「俺ら、大人になれるのかな」
「なる、つーかなってく、みたいな感じなんじゃん?」
「そっか」
どうにかして不安を消し去りたくて、
リュックを放り投げ、
ブランコに足を乗せて立った。
もうすぐで頭が上のポールにぶつかりそう。
思いっきり漕いだ。
ふと前を向くと、
あの夏とはまた違う、清々しい青空が広がっていた。
引き込まれる空。
「なぁ、」「なに?」
「前みたいにさ、2人乗りしねぇ?」
「落ちても知らねぇぞ?笑」「落ちるならお前だけどな」
空の下で、
ブランコの漕ぐ音と、2人分の笑い声が響いていた。
10/19/2024, 6:10:16 AM