「今日は半袖なんだな、良かった」
「今日は暑いから」
いつも長袖で、ずっと日陰にいるのに今日は珍しく半袖で、きちんと人間としての感性を持っていることに少し感動した。
「暑いよな」
「うん」
気温は高い。朝っぱらから下がることのない猛暑。さすがに日陰にいるとはいえ、長袖ででは厳しいものがあるだろう。
「これ、やる」
差し出されたのは、塩分タブレット。
「タブレット…?」
「熱中症にでもなったら困るからな」
はやくとれ、と怒られて、それを受け取る。差し出されていたその腕が、細くて白くて、それに俺が驚いていたから反応が遅れてしまったらしい。
「さんきゅ、ありがたくもらうわ」
「もらっておけ」
それをあけて、口に放り込む。
「…しょっぱー」
「そりゃそうだろ、塩分だぞ?」
「確かに」
「いくらでもある、欲しかったら取ってけ」
布巾着を押し付けられて、その中身をみる。
たくさんの、いろんな種類の塩分タブレット。
俺が飽きないように、たまにグミとか、ガムを入れてくれてる。
「…優しいなぁ」
「…うるさい」
一見怖そうなのに、こんなに優しいのが、ギャップで好きなんだよね。
お前の半袖、なかなかに似合ってる。
『半袖』
7/26/2025, 8:51:10 AM