バスクララ

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部活が終わってすぐ後、教室に忘れ物をしていたことを思い出した。
友達はもう暗いし明日にすればと言ったが、思い出してしまった以上取りに行かねばという謎の使命感に囚われた私は職員室で鍵を貰い、そのまま教室のドアを開ける。
真っ暗で誰もいない教室。そんな非日常に少しワクワクしている自分がいた。
私の席は廊下側の一番前なので迷わずに忘れ物を取ることが出来た。
さあ鍵を閉めるぞと鍵穴に突っ込んで捻るも手応えがまるでない。
何回か繰り返して、もしかしてもう鍵かかってる? と不安になってドアを開けるとすんなり開いた。
ウソでしょ!? と思いながらもう一度鍵を捻るもやはり手応えはない。
……ヤバい。ヤバいヤバいヤバい!
どうして鍵がかからないの!?
と半泣きになりながらガチャガチャしていると、私の戻りが遅いことを心配した友達たちがやってきた。
私は嬉しいやら申し訳ないやら悔しいやらで涙が溢れ友達たちを驚かせてしまった。
私はなんとか事情を説明し、友達の一人が鍵を捻る。
するとカチャンと鍵のかかる音があっさりと響いた。
え? と面食らう私と友達たち……
私の日頃の行いが良かったのか、それとも泣いていたからか嘘つき呼ばわりされることはなかった。
でもその日以来鍵をかけることに苦手意識を抱いたし友達も私に部室の鍵を託すなんてこともしなかった。
あの日、ただ単純に私のやり方が下手くそだったのか焦りで上手く出来なかっただけなのかは定かではない。
ただ今になって、もしかしたらオバケのいたずらだったかもしれない……とふと思ってしまった。
なぜなら学校の隣に墓地があり、教室の窓から見えてしまっていたからだ。
まあオバケとかのせいではなくて、本当に私の鍵かけ技術が下手だっただけなんだろうけど。

9/6/2025, 2:10:50 PM