『どうして…?』
『何でだよ…?』
『私が(俺が)居るのに…』
ーこれは、2人の高校生のひと夏の物語だー
私、菜月(なつき)。
華のJKとして青春を謳歌中!
…なんて、1度でいいから言ってみたかっただけ。
確かに恋もしてるし、友達と楽しく生活してる。
けど、私の恋はそんな簡単なものではないから。
彼と付き合う、なんて、そんな夢はもう捨てた。
『菜月!!』
『!祐也!』
彼は、裕也(ゆうや)。
私の幼なじみであり、片思いしてる相手でもある。
『おはよっ!実はさ、昨日も朔(さく)が好きな人の話してきてさ。』
朔くんは、裕也の友達。私は顔見知り程度だけども。
『…。裕也は、恋とか興味ないの?』
『俺?興味無いな。今はサッカー1本に集中してぇし。ほら、いま7月だし、そろそろ大会だろ?』
『ふーん。』
『自分から聞いてきたのに、なんだその反応笑』
裕也は、分からないんだろうな。
私がその言葉にどれだけ喜んだことか。
この時、油断してたのがいけなかったのかもしれない。
月日は過ぎ、9月。
『菜月。』
突然、やけに真剣な顔持ちで話しかけて来た裕也。
嫌な予感がする。
『どうしたの?裕也。』
私はあくまで平常を装う。
自分の心臓の音が早いことのには、
気付かないふりをする。
『実はさ、俺。』
何となく聞いてはいけない気がした。
正直、いますぐ耳を塞ぎたい。
でも、裕也はことばを発する。
『俺…、彼女できた。』
それは私にとって、
私を1番地獄のどん底まで突き落とす言葉だった。
『え……』
なんで?
そんな様子全然無かったのに…
てゆーか、それをどうして私に言うの?
私の頭の中は軽くパニックを起こし、
言葉は何も出てこない。
『何で急に、こんなこと言うかっていうと、その彼女になった実弥(みや)ちゃん、が、菜月といるところ見ると、不安になるんだって、言ってて。
それで、なるべく学校では関わらないで欲しくてさ。お願い。』
そう言って頭を下げる裕也。
本当は嫌だった。
でも、こういうしかないじゃん。
彼にとって、私はただの幼馴染。
『わかった。いいよ…』
『ありがとう。じゃあな、菜月』
今、この瞬間、わたしの恋は終わりを告げた。
本当は、心のどこかでいつかこういう日が来ることをわかっていたのかもしれない。
恋人して、だけでなく、
幼馴染としても、彼の傍に居られなくなることを。
夏休み明けの、始業式の日。
『うわぁぁっ、なんでよぉっ、』
まだ、ほのかに暑さが残る、そんな日だった。
うつくしい青空の下
私の泣き声が、ただただ、響き続けた。
この日、もう1人失恋した人が居た。
裕也と同じクラスの、蓮翔(れんと)だ。
彼が好きだったのは、
裕也の彼女、実弥だった。
私がひとしきり泣いたあと、
『よしっ!クヨクヨしても仕方ない!かえろ!』
頬を叩き、気合いを入れて、帰路へ着こうとする。
すると、何かを踏んだ。柔らかいものだ。
『…え?人!?』
そこには、涙のあとをつけた、同じ制服の男の子。
『ん…』
『ちょ、大丈夫ですか?!』
『え、だれ…?』
それこそが、蓮翔である。
菜月は、後に2人は付き合うこととなり、
そんな事実を聞かされるのだった。
𝑒𝑛𝑑
6/3/2024, 1:16:54 PM