SHADOW

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恋物語

 「ねぇ、お母さん?お母さんは、どうやってお父さんと出会ったの?」と娘が言う。
少し驚いたけれど、私は話してあげることにした。

 貴方のお父さんは、ヒーローだったの。
誰からも愛される人だった。私はそんなあの人が好きだった。だけどね…私とお父さんは、“普通”はしてはいけない事をしたの。

それは…“恋”

理由は後で分かるわよ。
それでね、ヒーローの反対?は何だと思う?
そう…“ヴィラン”
私はヴィラン側の人だった。
だから“普通”ではなかったの。
何回か争っていた。だんだんと争いが激しくなっていった。
でね、勝ったのはヒーロー側だった。
ん?ヴィラン側?…負けたから、解散していったわ。
やっと“普通”の恋が出来るって思ったでしょ?
でもね…まだダメだったの。
あの人はヴィランに勝ったでしょ?
だからだよ。ヴィランを倒したから、ヒーローは色々な人に好かれる。
より近づけなくなったのよ。
でもね。あの人は数ある人から、私を選んでくれた。

『はい。おしまい。こっから先はお父さんに聞いてね?』と言うと娘は拗ねた。
私はそんな娘が愛おしかった。
『ただいま〜ケーキ買ってきたぞ〜!』
そう玄関から聞こえてくる、最愛の人の声。
「お父さん!おかえり!ケーキ食べたい!」

今日は貴方と出会って5年。結婚して7年。
これからも愛してる。

5/18/2024, 11:30:56 AM