ようやく仕事を終え、疲れきって家に帰る。
一人暮らしの狭い1K。出迎えてくれる人なんていない、真っ暗な部屋。
食事とか、シャワーとか、しなければいけないことはある。
ただどうにも身体を動かすのが億劫で、ベッドにもたれかかってぼんやりとテレビを眺めていた。
疲れたなあ。
いつの間にか画面には昔話題になったドラマの名場面が流れている。
同情するならカネをくれ
あまりにも有名な言葉だ。
同情なんて何の意味もない。
そんなものより現実的な助けになるお金をくれ、という意味なのだろう。
この言葉が有名なのは、それだけこの言葉に共感した人も多かったからだろうか。
確かに、上辺だけの励ましの言葉じゃ何の助けにもならない。お金は形として生活の足しになるし、何か物に変えることができる。
でも、と疲れ切って動かない頭で思う。
たとえ同情でも、優しい言葉をかけてくれる人が側にいるのは羨ましい。
仕事で言われたトゲのある言葉が頭の中で反駁される。
残業して、他に誰も残っていない真っ暗な職場を思い出す。
同情でもいいから情をください。
だれか私に優しくしてください。
2/20/2023, 10:19:30 PM