「これ、あげる」
はにかむ幼子の手の中で、美しい瑠璃色の石が光を反射した。
「いいの?」
「うん、とくべつ。みんなにはないしょ」
くすくす笑う幼子が差し出す石に触れ、少女は小さく声を上げた。
暖かい。幼子の手の熱が石に伝わり、まるで小さな生き物のような温もりを感じていた。
「どうしたの?」
首を傾げる幼子の両手を、手のひらの中の石ごと包み込む。子供特有の高い体温を感じながら、少女はほぅ、と吐息を溢す。
「ありがとう。大切にするね」
幼子の黒く大きな瞳に映る自身の不格好な笑みを見ながら、少女はありがとうと繰り返す。
温もりが切ない痛みを孕み出すのを、必死で気づかない振りをした。
12/20/2025, 9:48:05 AM