MerryAnn

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 私のクラスにはアンナという少女がいた。可愛らしい子だった。遠くから眺めているだけで満足できるその浮世離れした美貌の理由、それはロシア人の祖父から受け継いだ血にあるようだ。
 異国の血が混ざっている、それだけで幼かった私たちの興味はそそられた。みんながアンナに話しかけた。みんながアンナにお菓子をあげた。みんな、アンナに気に入られたかった。いつのまにかアンナはクラスの女王だった。
 途中からそんなアンナが気に入らない女子グループもできた。だが、アンナはそれを許さなかった。アンナはそのグループに入り込んで女子達の好感度を上げた。結局一人になったリーダー格の女子はクラスの白い目に耐えられず完全に解体されてしまった。
 アンナは陰気臭いからとクラスから省かれていた私を救い出してくれた。私と仲良くして、一緒に写真を撮った。私に一番近い存在になった。
 私はもうアンナと一心同体なのだ!私は人生で一番輝きを放っていた!もう怖いものなんてない!
 アンナが裏切った。アンナは両親が死んだからロシアに帰ると言った。酷い!アンナは何も分かってない!アンナと完璧な一体になるために頑張ったのに!アンナのために邪魔な奴らを埋めてあげたのに!
 仕方がなかったんです。本来一つになるべきだったんですから。海を越えたどこかへ行くなんて、これ以上距離が開くなんて、だってあり得ないじゃないですか。だから頂きます、したんです。おいしくはなかったです。でももうこれ以上離れなくていいんです。うれしい

距離
(副題:逃げないよね!アンナ)

12/2/2024, 7:33:13 AM