辛いこと

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ー禁物ー(楽園)

「お母様、あれはどうしてここに居るのです?」
「雇ってるの。あなたと年も近いでしょう。友達として接しなさい」

「友達は信用ならないと、お父様から教わりました」
「ふふ。対等な関係はそうかも知れないわね。だけど、あれはお金で雇っているのよ。安心して大丈夫でしょう」



あの頃、中性的な体つきをしたそれは、綺麗な顔をしていた。

「名前は?」
「マリと申します」

髪も、結んでいたのに、背中の真ん中辺りまで落ちていたから、結構長かったと思う。

「どうしてここに来たの?」
「家が、苦しくて」

「好きな食べ物ってある?」
「好き嫌いはあまり」

綺麗な声だと思った。
よく響く、中性的な声。

「お父様には会った?」
「はい。お会いしました」

「どうだった?」
「お優しい方だと思いました」

「……」
「坊ちゃま。旦那様がお呼びです」

「え?分かるの?」
「はい」

長いまつ毛に隠れた瞳は、どこか遠くを見つめている。
いつでもすまし顔で、僕の後ろに立ってついてきた。



「旦那様!お辞めくださ」
「黙れ!お前は重罪人だ!息子をたぶらかす悪魔め!」

「お父様。どうかもう一度、考え直してみてください」
「えぇい!煩わしい!今のお前は信用できんのだ!」

「でも!」
「「でも」では無い!いつからか知らんが、いつの間にか子供を作って!あちらとの結婚もこれでパァだ!」

マリはしばらくして、処刑された。
お腹の子と共に。

お腹の子は自分の子ではない。
それを証明するものはどこにも無かった。

誰も疑わなかったのだ。

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私は駄目な人間なんです。どうして忘れてしまうのでしょうか

5/1/2026, 9:42:01 AM