恋人が「君だけのメロディ」とかいう自作の歌を引っ提げてきた
どうやら私へ贈ろうと作ってきたようだ
私のために頑張ってくれたんだろうなとは思う
けど、あの
正直、かなり痛々しいと思います
なにがって、大して音楽に明るくないのに歌をプレゼントするところとか
あと、作詞作曲歌唱、そのどれをとってもかなり微妙
いや、作曲は知識や経験がないと難しいだろうから当然としても、作詞と歌唱は素人にしてもなかなかの下手さ
どうしてそんな状態でこれを贈り物にしようとしてしまったのか
それから、作曲って言ったけど、もちろん恋人は楽器なんて弾けないし、楽譜なんて読めないし書けないので、アカペラ
つまり歌の部分だけメロディを付けたということ
本当に、どうしてこれを贈り物にしようなどと無謀な考えに至ったのか
勢いで乗り切るつもりなのか
そして、今日は記念日でも何でもない
私の誕生日でも、恋人の誕生日でも、付き合い始めた日でもない、ごく普通の日だ
そんな日に唐突に、謎の歌を披露した
意味不明
もう本当に、この人は本当に……
あんまりにも面白すぎない?
普通こんなわけのわからないことをして笑わせてくれる恋人なんていないよ?
なんでこう、いっつも私を楽しませてくれるかな
この前だって、あ、ダメだ、思い出し笑いしそう
とにかく、フフ、これは最近の中でも最高の部類
私のツボを的確に突いてくる
恐ろしいことにこの人、天然じゃないんだよ
確実に私を笑わせるため、計画的にやってるからね
なんでこんな完成度の低い歌を贈り物にしようと思ったかって?
私を笑いの渦に飲み込ませるために決まっている
この人のせいで、もう他の人と付き合える気がしない
まあ、私から別れを切り出すことなんて絶対にないだろうけど
この人抜きの生活になったら死ぬほど退屈になりそうなくらい、なくてはならない人になってしまった
私をこんなヤバい状態にするなんて、ひどい人だよ
とりあえず、「君だけのメロディ」をもう一度歌ってもらおう
最低一週間は笑えそう
6/13/2025, 11:24:33 AM