ストック

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Theme:花畑

それでは、あまり怖くないですが私の体験談をお話しします。

気がつくと、私は花畑の中に寝そべっていました。
甘い香りが花をくすぐります。
真っ青な空、視界の縁を白やピンクの花が視界を彩っていました。

私は立ち上がって周囲を見渡してみました。
そこには色とりどりのカーネーション、真っ白なユリが咲き誇っています。
美しさに思わずため息をついたにを覚えています。

美しい風景にうっとりとしていた私だったが、ふと気がつきました。
「私はどうしてここいるんだろう?」
その瞬間、空がにわかにかき曇り、叩きつけるような雨が降りだしました。
雨粒が当たると、花は次々と花弁を散らしていきました。
猛烈な恐怖に襲われ、私は思わず叫び声を上げました。


「気がついた?大丈夫?」
「医者を呼んでくる」
ふと気がつくと、私は真っ白な天井を見上げていました。
傍らで必死に私に呼びかけているのは私の両親です。
もう、あの花畑はありませんでした。
母の話では、私は事故に遭い意識のない状態が続いていたそうです。


あの花畑は此岸と彼岸の中間に位置する場所だったのでしょうか。
もしあのまま花畑の美しさに身を任せていたら、目覚めることはなかったのかもしれません。
恐ろしいと思っていますが、生きて足を踏み入れることのない領域を垣間見たことを伝えなければと妙な使命感に駆られてもいるんです。

これで私の話は終わりです。
次の方、お願いします。

9/18/2023, 5:47:06 AM