夢月夜

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『神様が舞い降りてこう言った』

私の目の前に人がふわりと舞い降りて来た。

神々しい光を放ち、その美しさは目映い程。
見ているだけで崇めたくなってしまう輝かしい雰囲気を纏う彼は人の姿をしているが、明らかに人ではない。
普通の人が空から羽のように降り立つわけが無いのだ。
そう、彼……否あの御方は神様。私の直感がそう告げた。

神様は私を真っ直ぐ見つめゆっくりと口を開くとこう仰った。

「ういーっす、オレ神様。アンタの願い叶えてやる為に来たってわけ。凄くね?凄くね?」

え゛

あれ、私の耳が壊れたかな?おかしくなったかな?目を丸くする私は何も言えないまま混乱しかけた頭の中を整理し始めるもそれは無意味に終わる事に。

「オレっちが願い叶えてやるからさ、とりま言ってくんね?」

………二度目に聞こえた言葉も先程聞いたギャル男だった。

「神様ってもっとこう丁寧口調だったり神秘的だったりするんじゃないの!」

理想の神様象を崩されたショックと怒りから文句を付けるも、ギャル男神様は頭をぼりぼりと掻きながら気だるそうな間延びした声を上げると、

「神も色々いるんだわ。人間も色々いるっしょ?それと同じなわけ」

……え、神様ってそんな沢山いるの?
というか、そんな適当でいいの?
というか、そんな清楚で神々しい見た目でギャル男みたいな口調で喋らないで欲しい。

叶えて欲しい願い事はあるはずなのにそんなものは彼方へと消えていき、私の思考を埋め尽くすのは長年憧れ続けた神様象を壊したギャル男神様への苦情の嵐であったが、私は自分が思っていた以上に衝撃を受けたのだろう。それを告げることなく私はその場で倒れてしまった。

……どうか全部夢でありますように。


後日、友人の話で私は丸1日魘されていたらしい。

7/27/2022, 11:43:30 AM