G14

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送迎の車に乗るときはいつも窓の外を見ている。
遠くを見て、車酔いにならないようにするため

ではなく、ビルからビルへ飛び移っていく忍者たちを目で追うためである。
これが結構面白い。
彼らは車に付かず離れずついてくる。
忍者たちの正体、それは自分のボディガードたちだ

学校生活を心配した親バカの父親に無理やりつけられた奴らなのだが、どうやら本物の忍者らしい。
つまりフィジカルエリートなのだが、一人どんくさいやつがいるのだ。
そいつの観察が最近の趣味である。

例えばよく足を踏み外しそうになったりして、ハラハラする。
流石に本当に落ちたときは、肝を冷やした。
仲間に助けてもらって無事で安堵したのを覚えている。
違うビルに飛び移って、どんどん離れていく様子には思わず笑った。
隣のビルが思ったより遠くて怖気づくが、仲間の応援で飛べたときは、感動で涙したものだ。

ボディガードなんて、と思っていたがなかなか楽しめている。
やはり思い込みは良くない。

そんな忍者を観察していると、学校に到着した。
どうやら今回、ミスは特になく無事に着いたようだ。
喜ばしいことなのだが、物足りなくも思う。
まあこんな日もあるか、と思っていると、あの忍者が近づいてくる。
何事と思っていると、お弁当を忘れていますよと言う。
礼を言うと、彼は身につけていた風呂敷を開けて中身を広げ、少し考えたあとこちらを見た。

「申し訳ありません。お弁当持ってくるの忘れました」

9/25/2023, 9:55:11 PM