Saco

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一筋の光
何処までも、何処までも 続く暗闇
どくん、どくんと脈を打つ音
その音が何かを知らせる様に呼ぶ

僕... 私 誰を呼んでいるの?

透明な薄い膜の中で、水に揺蕩う
その心地良さに、半分開いていた
瞳がまた 瞼で閉じる。
水の揺らめきが また眠りを誘う

すると... どくん どくんと また脈を
打つ音が聞こえる。
今度は、強く はっきりと
その音に、敏感に、反応し また
目を開ける。

すると 黒一色の世界に 一筋の光が差す
その光に 抗おうなんて 考えは、
微塵も無かった。
その光を見ようと目を凝らす。

凝らせば 凝らす程 視界が広がり
吸い込まれた。


次に目を開けた時 白い空間が
目の前にあった。

そのあまりに、衝撃的な光に
目が潰れると想い
体がびくんと跳ね
口から思いも寄らない 音が鳴った。


「おめでとうございます 元気な
男の子ですよ!」

その音が産声だと僕が気付くのは、
その優しい声を聞いてからだった。




11/6/2023, 1:21:06 AM