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心の灯火…

小学生の頃、近所に茶色の雑種犬が長い鎖に繋がれて飼われていた。

長い鎖は、飼い主が散歩に連れて行かないつもりの鎖だと知っていた…名前も解らない、よその家の犬。

下校して私の家に近づくと近寄ってくるとても、人懐こい可愛い犬だった。
撫でてあげると嬉しそう、本当はいけないけれどちょっと隠れてオヤツをあげちゃう。
人懐こくて大人しく滅多に吠えない優しい犬だと思って、ちょっと甘えてみる。

ねぇ、その口の横に付いてるビラビラしたのなぁに?ちょっと…閉じてる口の中をめくって見せて〜
と犬の口の横からめくっても、動じない…え?見ていいの?見るぞ〜とペロンとめくると、立派な歯!
そっと元通り…ありがと!納得!と頭をわしわし撫で回す。 猫も好きだが、犬も好き。

最近、友達が飼ってる高齢の犬が癌を患いながらも、日々一生懸命に生ききって目を閉じた。

その様子を聞いたり、写真で見せてもらったりしていたので、弱っていく姿が切なかった…側で看病しながらその時を待っている友達の気持ちが伝わってきて、せめて苦しまないで旅立つことを祈るしかなかった。

旅立つ瞬間の写真とその様子が送られてきて、とうとう虹の橋を渡ってしまった…と伝えられた時は、
ただ、ただ、友達に頑張ったね、お疲れ様と労う言葉しか言えなかった。もどかしかった。

生きとし生けるものは、いつか必ず命の旅は終わる…それは、時間をかけてゆっくりなのか、ある日突然くるのか、人間にも動物にも誰にも解らない。

絶対後悔しない人はいない。
でもつい、日常が明日も必ず来ると思いがちで、優しい言葉や労う言葉を相手にかけることや、思いやることを後回しにしがちだ。

なんの前触れもなく、永遠の別れがやってくると常日頃から強く心に留めること…
明日がもし、来なくても立っていられる自分で有ること…
それが心に灯火を灯すことに、全て繋がると思うから…

難しく考えすぎず、私は家族同然の犬を看取って供養した友達と、紫陽花が大好きだった向こうへ行ってしまった犬へ 花を贈る。
高齢だったけれど女の子だったから、おばあちゃんでもやっぱり可愛い華やかな色合いで…と、花屋に頼む。
辛い時、友達の側にいてくれてありがとう!の気持ちが届きますように…。

心の灯火は、幾つになっても灯していられる私でいたい!と強く思いながら…。



*読んで下さり ありがとうございます*

9/2/2023, 11:08:18 AM