もっともっと、そばにいたかった。
もっともっと、してあげたいことも、してもらいたいこともいっぱいあった。
どれだけ長生きしたって、後悔することはいっぱいある。
だからなるべくやりたいように生きてきたし、いつ死んでも悔いはないって思ってたのに、結局最期に色んなことを悔いてしまうのは人の性なのだろう。
怖がる自分と手を繋いでくれたのは、最期の優しさ。
縁もゆかりもないのに、ずっと悪態ばかり吐いていたのに、その人は目に涙を浮かべて唇を噛み締めてくれてた。
湿っぽいのは嫌いだと言っていたのを覚えてくれてたんだろう。
「ありがとう、ごめんね」
そういえば初めて伝えたなと気が付いたのは、世界が暗転する直前だった。
『ありがとう、ごめんね』『手を繋いで』
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12/10/2023, 2:43:08 AM