孤都

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   『秋風』
  
   教室の窓側の1番後ろの列。
   僕のお気に入りの席。

   春、夏、秋、と冬になって雪が降り始めるまでは、
  きまって窓を開けて、風になびいてカーテンの隙間
  から、ちらっと見える空を眺める。

   夏が終わった。
   服が汗で濡れてベタつくように蒸し暑くて、
  うるさいセミの声はもう、聞こえない。
   いつも通り、窓を開け、授業中に頬杖をつきながら
  外を見る。

   少し強い風が吹いて、僕の髪はふわっと空気に
  持ち上げられた。その風は少し冷たくて・・・・・・。
  
 「秋風――」

   嫌になるほど蒸し暑かった夏が終わり、
  少しだけ風が冷たい、紅葉が映える、秋がやってきた。

11/14/2024, 11:58:46 AM