かたいなか

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「『子供』はこれで3回目なんよ……」
5月13日頃の「子供のままで」と、6月23日の「子供の頃は」2度あることが3度あったが、さすがに4度目の「子供」はあるまい。
大きなフラグを立てる某所在住物書き。約4〜5ヶ月前自分で書いた文章を、せっせと辿って確認する。
アプリ内での過去作参照が面倒になってきた今日この頃。初投稿など、何度スワイプしても到達できぬ。
おお。記事数よ。汝、合計約230の膨大な物量よ。

「子供の頃のように、某森ページの個人サイトで、自分ひとり用のまとめでも作りゃ良いのかねぇ……」
所詮約230の文章量をコピペしてコピペして飽きて計画頓挫が関の山である。

――――――

最近最近の都内某所、某稲荷神社敷地内の一軒家に、人に化ける妙技を持つ化け狐の末裔が、家族で仲良く暮らしておりました。
狐の神社は不思議な神社。五穀豊穣から商売繁盛、諸芸上達に諸願成就、なんなら家内安全に良縁招来あたりまで、なんでもござれ。
特に秋彼岸の前後2ヶ月で販売される、ヒガンバナと狐を模したお守りチャームは、そこそこ効果がある気がすると評判。狐のおまじないが少し掛かっているから、当然なのです。
ヒガンバナの、複数ある花言葉の中のふたつは、「独立」と、「想うはあなた一人」。縁切りも縁結びも対応可能なヒガンバナが、稲荷神社のご利益を得て、悪縁を絶ち良縁を引き寄せます。

でも稲荷の狐は祟ります。悪い心のひとがお守りを買うと、お守りはたちまち毒を吐き、悪い心のひとを懲らしめてしまうのです。
お守りが、助けてくれるか、逆にお守りにやっつけられてしまうか。それはその人の心次第。
今日も今日とて……
「縁結びと縁切りだとさ。お前、あいつとの縁切りに、ひとつどうだ」
「は?」
善良な心と魂の匂いをした親友2人が、秋空に雲かかる、稲荷神社の売店にやって来ました。

ひとりは8年前の初恋で酷い目に遭い、その失恋相手と逃げて追ってを繰り広げているぼっち。
もうひとりは十数年前結婚した妻子持ち。
妻子持ちがぼっちを誘って、稲荷神社に来たのです。

友情だ。キレイな心だ。おやつくれる人だ。
稲荷神社在住の化け狐、その内の末っ子子狐が、神社にお金を落としてくれるお客様を感知して、
てってっちって、てってっちって。
子供のような好奇心で、というより子供「のように」どころか子供「そのもの」なのですが、
売り場を観察しに、やって来ました。

「あの人との恋愛沙汰なら、あと2週間3週間で完全に片付く。わざわざ縁切りなど、する必要は無い」
「お前が田舎に帰るから?仕事も、自宅のアパートも全部始末をつけて?」
「お前も見ただろう。8月28日、あの人が私を追って、職場にまで押し掛けてきたのを。……これ以上、職場にもお前にも、後輩にも、迷惑をかけたくない」

「すいません。コレ、2個ください」
「私の話聞いてたか宇曽野?」

お金を払って、お守りを受け取って、子供のようなイタズラ顔で、ヒガンバナと狐のチャームをぼっちの両耳に近付ける妻子持ち。
ほんの少しだけ寂しげで、しかしやっぱり、とっても楽しそうです。
「似合う」
「やめろ。そもそもピアスじゃなくてお守りだろう」
「金具を付ければ良い。嫁が得意だ」
「お前の嫁さんを巻き込むな」

休日作業の技術料込み、555円でどうだ。
だから、やめろ。いらない。
ぼっちと妻子持ちの親友ふたり、あーだこーだ会話して、神社の売り場から離れていきます。
「若いわねぇ。昔を思い出すわ」
売り子さんが優しく笑って、ポツリ言いました。
「おばーばも500年くらい前、恋の揉め事でアレやコレや、苦労したのよ」
慈愛の目でふたりを見送る売り子さんは、彼等の悪縁を払うため、ひと声コンと、鳴いてやりました。

10/14/2023, 2:36:19 AM