親に叱られて、渋々部屋の掃除をしていた時、長い間開けていなかった机の引き出しに、1冊の本のようなものがしまわれていた。
題名は「秘密の標本」
開いてみると、長年会っていなかった友達の写真が沢山保存されていた。
一つ一つの写真の下には、一言文章が書かれてある。
雪だるまを作っている姿の写真には「貴方は冬が好き」
勉強している姿の写真には「貴方は数学が好き」
本を読んでいる姿の写真には「最近読書にハマってる」
私は写真を撮るのが好きだった。そんな私に、貴方はいつか私をモデルにしてと毎日のように頼まれていた日々を思い出した。
隠れて写真を撮るのは悪趣味だったかもしれないけれど、それでも貴方のことを何があっても忘れたくなくて、標本を作って机の奥底にしまっておいたのだ。
今見ても、貴方は愛おしいと、心から思う。
11/2/2025, 10:46:28 AM