あの子の慟哭が聞こえる。あの子には何も遺されていなかった。財産も家も、家族も。親の無償の愛すらも与えられなかった。空っぽの、憐れな子供だった。誰にも顧みられず、他者に助けを求めることもせずに、あの子は生きた。友も伴侶もなく、ずっと独りきりで。あの子の心は小さな子供の時のまま、寄る辺なく小さく蹲っていたあの時から止まったままだった。 あの子の慟哭が聞こえる。誰か、僕を愛して、と。テーマ「やるせない気持ち」
8/24/2023, 6:00:30 PM