私は靴を履いて、外に出ようとした
先程まで泣いていたのが嘘かのように前を向く
外はなんだか暗かった
厚い雲が、私の行く末を邪魔するように見えた
もう目は乾いていたから
問題なく歩き出すことができた
私は必死に歩いていたから
君も出てきたことに気づいていなかった
雨の香りがするね、と声をかけてくるものだから
真正面から君を見てしまった
あぁ、雨ね。
傘持ってきたかな。
適当な会話は場を柔らかくする
君はなんだか早歩きで行ってしまった
私の涙の跡は
君には少し早すぎたのか
『雨の香り、涙の跡』
6/19/2025, 3:39:10 PM