17時を知らせるチャイムが鳴り響く。カラスが鳴いて飛び立っていく。
「もうかえらなきゃ」
「…うん」
「あした、がっこうであおうね」
「…うん」
「もー!××くん!」
下をむいたままの僕に、𓏸𓏸ちゃんは手を差し伸べて、こう言った。
「またあした!」
「高校まで一緒なんてね」
「ずっと𓏸𓏸と居るから彼女だと思われてんだよ」
「ただの幼なじみだし。今度彼氏つくるか…」
「いいんじゃね。良い男選べよ」
「あんたに言われなくてもそーしますぅ」
「ん、じゃあな」
「また明日〜」
………。
ばらばらになったビル、燃え盛る街、泣き叫ぶ人の声。××だったハズの、なにか。手を握っても抱きしめても、温度さえ感じられない。焼け焦げた××の体は触れる度にぼろぼろと崩れていった。
こんな時に限って、懐かしい思い出ばかり蘇る。ほんとは彼氏つくる予定なんて無かった。ずっと隣にまとわりついてやる予定だったのに。
飄々と燃え続ける炎に近づく。皮膚に火の粉が飛んで、痛くて暑くて、段々苦しくなってくる。
酸素を求めても肺に入ってくるのは二酸化炭素ばかり。視界が点滅して、苦しくて苦しくて、苦しい。
大丈夫だよ××。きっと会えるから。だからね、
また、明日。
『また明日』
5/22/2024, 11:33:01 AM