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ふと思い立って、子供の頃のアルバムを見ることがある。幼稚園ぐらいまでの写真を見ると、若い頃の両親や叔母、叔父、幼いときの兄やいとこ、そして生きていたときの祖母や祖父に会うことができる。

誰にでも優しくて親切で善良で、怒ったところを見たことがない大好きな祖母。その一方で、祖父はすごく苦手な存在だった。

私が物心ついた時には、すでに認知症だった祖父。お酒が大好きで、酔っ払っては妻や娘から煙たがられて。家の中で遊ぶ私たちを、よく叱りつけていたっけ。

祖母があまりにも我慢できなくなって、一緒に遠出をして外泊したことがあった。夜に母がしれっと電話を掛けてみたら、おばあちゃんは二階で寝てるって。本気だったのか嘘だったのかは分からないけど。家に帰っても何事もなかったようにしてたな。

とまあ、苦手意識を持っていた祖父だったけど。お正月休みのある日。祖母に赤い着物を着付けてもらった私に、

「べっぴんさんだね」

って。何となく気恥ずかしくて素直に喜べなかったのに、なぜか30年以上経った今でも覚えているあのワンシーン。あれは正気だったのかしら。

今となっては確かめようがないけれど。祖父を知っている方には、いい人だったって言ってもらえることがあるから。今なら、一緒に楽しく酒盛りできるかもしれないな。ね、おじいちゃん。

7/17/2024, 2:33:53 PM