風が吹いている。 あまりの心地良さに思わず風に歌声を乗せた。この広い草原で、思い切り歌う。世界がまるで自分のものになったような気分だった。「ママー。なんで風が吹けば桶屋が儲かるの?」「それはね。風に乗ったパパみたいな歌声がみんなの耳を駄目にして、みんな三味線を弾くことも聴くこともなくなって、三味線に使われる猫は余ってしまって、そのたくさんの猫が桶で丸まって眠るから、桶屋が儲かるのよ」「そうなんだ!」「ママ、嘘教えないで」『風に乗って』
4/29/2024, 10:35:23 PM