202X年、世界は静寂に包まれた…。
原因が分からず、突然音の消えた世界……
それでも人類は生き延びようとしていた。
色々な不便を強いられるようになったが、それでも様々な対策を編み出す人類。
だが人類の活気は徐々に低下していくのだった。
そんな中、人類とは対照的に、逆に激しく盛り上がっている存在があった。
パリピである。
「ウェーーーーーーイ」
パリピは騒いでいた。
今の世界は彼らにとって、実に理想的であった。
どれだけ騒いでも、うるさいと文句を言われない。
アパートで夜通し騒いでも、誰にも迷惑がかからないのだ
人類も『忙しいし、迷惑じゃないから放置』と止めることは無かった。
まさにパリピ黄金時代。
彼らはノリにノッていた。
パーリーピーポーの文字通り、毎日パーティを開いて騒いでいた。
だが突然世界に音が戻る。
消えた時と同様に、戻ったのも突然だった。
原因は分からないが、分かる事は一つだけ。
『パリピはうるさい』ということ。
今まで被害が無いからと放置されていたパリピたち。
だが音が戻ったことで、彼らのお祭り騒ぎが問題になってしまったのだ。
それを受け、多くのパリピたちはパーリーを自粛、あるいはTPOを弁えてパーリーをするようになった。
だが何事もマナーの悪い存在はいる。
音が無くなった時と同じように騒ぐ悪いパリピ――迷惑系パリピが社会問題となったのだ。
警察は事態を重く見て、迷惑系パリピを捕まえると宣言。
多くの迷惑系パリピを逮捕した。
だが問題は解決しなかった。
捕まえた迷惑系パリピが牢屋でもパーリーし始めたのだ。
他の受刑者からも『何とかしてくれ』と懇願され、新しく対応を迫られることになる。
困った警察は、迷惑系パリピを一か所に集めることにした。
毒を持って毒を制す。
うるさいのをまとめることで、相殺できないかと目論んだのだ。
結果は成功だった。
パーリーは人が多いほど騒げるが、それにも限度がある。
狭い場所に多くの迷惑系パリピが集められたことで、彼らはパーリーをする気力を失くし、パーリーをしなくなったのだ。
まるで、かつての『音のない世界』のように静かな世界。
この結果は、人類に喜びを持って受け入れられた。
それからは、逮捕された迷惑系パリピはここに集められることになる。
いつからか、この部屋は『静寂に包まれた部屋』と呼ばれるようになり、彼らの恐怖の対象になったのだった。
民明書房 『いかにして迷惑系パリピは滅んだか?』より一部抜粋
9/30/2024, 1:49:17 PM