瑠璃

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《来訪者は青を纏う》
(刀剣乱舞/南泉一文字)


「少し、君の部屋を貸してくれ」

本丸中が寝静まる夜中。南泉一文字の部屋を一振の刀が訪ねた。

「....勝手に使え...にゃ」

「すまないな」


旧知の仲である山姥切長義だった。


寝間着を纏う彼の瞳は、いつもより青く見える。
それは夜よりも深い。いや、寧ろ彼の青さは空の青ではなく、海の青のような深い青に見える。
顔色も悪いが怪我はない。

(心の方の傷、ってとこかにゃ...)

南泉は彼の手を引き、何も言わず布団に座った。
その手は氷のように冷たく、先程の声も覇気が無かった。

(何があったんだか....)


いつもの威勢の良さが失われると調子が狂う。

けれども、山姥切が自身の弱ってる姿を見せられる相手が自分だけだと思うと、どれだけ嫌味を言われても嫌いになれないのだ。


(いっそ、苦しんでるなら泣き叫んででも吐き出しちまえば楽になれるのに。そうしないのが"山姥切長義"のプライドなのかにゃ....)


南泉は何も話さず、その手を握り続け、彼の心が晴れるのを待つことにした。


8/28/2024, 10:44:50 AM