ミツ

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「明日、もし晴れたら、私告白しようと思うんだ」

「なんの告白?」

「恋愛の……」

「誰に」

「あなた」

彼女が差した指の先には僕がいた。

「え?」

思いも寄らない事。

嬉しかった。

「今日は曇りでしょ?だから、貴方の事が好きな事を告白しようと思って」

どうしてこんなに可愛いんだよ。

どうやら僕は、また心を射抜かれたみたいだ。


「明日、もし晴れたら遠足だね〜」

「うん!」

自分で言っておきながら思う。

面倒くさい。

弁当の準備やら持ち物の準備やら。

お願いします、神様。

明日は曇りにしてください。

雲一つ無い空を見ながらそう願う。

息子には楽しんでほしい。

だけど準備はしたくない。

ここは一つ賭けに出ることにしよう。

全ては、保育園側が決める。

どっちに転ぶか、見守ろうじゃないか。


「明日、もし晴れたらラーメン食いに行こう」

「なんで?今でも十分晴れてんじゃん」

「明日じゃなきゃ意味ねーだろ!!」

「え、なんかごめん。どした?」

「明日は柊(ひいらぎ)の誕生日じゃん」

「誰だっけ?」

「ごめん、俺も覚えてないわ」

「薄情だな!柊 朱音(あかね)!思い出せない?」

「……あ!あ~、ね?いつも隅で固まってた奴らの一人か、ん?何で」

「お前ら見てないのか?明日同窓会あるだろ?そん時、柊誘って皆で食いに行こうって話。晴れてたらだけどな」

「何で晴れ限定?しかもラーメンって、もっと他にあるだろ。ケーキとか」

「晴れん時だけやってる美味いラーメン屋があるんだよ」

「潰れるんじゃね?そこ」

「いや、まずさ、何で誕生日知ってるの?」

「え?ほら」

「まさか、クラスメイト全員の誕生日メモってんの?引くわー」

「まじか…キモ」

「クラスメイトだけじゃなくて、先生のとかもあるぞ。出会った人の誕生日全部メモってる」

「あー、ごめん、用事思い出した」

「俺も!会社の後輩と飲みにいくことすっかり忘れてたわー、じゃ」

「同窓会で会おうなー」

「ん?あぁ、おん、何だあいつ等」


                           ー明日、もし晴れたらー

8/1/2024, 12:27:39 PM