未知亜

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ㅤ私は心配されたかったんだ……。
ㅤそう言ってあなたは泣いた。

ㅤどうにも周りと違うみたいだってことは、何となく分かってた。だけどどう違うのかなにが違うのかは、うまく説明できない。ましてや、どうしたらいいのかなんてもっと分からなかった。
ㅤひとより頑張って頑張って、やっと『普通』の振りができた。なのに、出来て当たり前のことは評価の対象にならないよと言われるのだ。
「藤宮さんもう五年目でしょ? しっかりしてよ」

ㅤあなたと出会って、困っている出来事を話し、「あるある」「そうそう」と頷くとき、心の奥からふわふわの小鳥を、目の前に放ち合っている気持ちになった。
ㅤ私たちの鳥は小さくて、ビュンビュンとは飛べない。短い羽を必死に動かし、空中をジタバタと藻掻くように泳ぐ。互いの言葉は私にそんなふうに見えていた。

ㅤ元気かな。元気ならそれで、いいんだけど。
ㅤいや、必ず元気じゃなくてもいいよ。消えずに生きてさえ居てくれたら、元気じゃなくても別にいいんだ。

『元気かな』

4/9/2025, 2:29:50 PM