pipe.

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 遠い日に見た夢で忘れられないものがある
まだ小さい子供の頃の私、1人公園の砂場にいた
太陽は高く風は無い
息をすれば湿気が喉に張り付くような日
その中で私は蟻たちが巣へと行列を成して帰る姿をただ見つめていた
エサや枝葉を運ぶわけでも無い蟻
それを見る私に表情はない
小さな砂漠みたいだと思った
ふと気付く
私はみていた
蟻を見る私をその隣に立った私が
その時これは夢の中だと知った
知ってから砂漠にオアシスができた気分だ
私は何度か瞬きをしてから蟻たちを眺めた
歪んだ列に見えていたそれは実は間隔は一定で前の蟻の小さな足跡をそのまま次の蟻が外すこと無く踏んでいて規則的だった
彼らにもルールがあり思考や秩序が存在してる
人の社会と同じだと思ったがすぐにその考えは撤回した
蟻には表情がない多分感情もない
ないと言うよりは必要が無い
あるかも知れないがきっと無いと思っている
人はそれが無いと多分生きていけない
蟻のようには生きていけない
ただ人で良かったか蟻が良かったか
時折、蟻が羨ましく思う

大人になるにつれこの夢を見ることは無くなった
けれどいつも思いだし考えている
きっと夢の中の公園の砂場にはまだ蟻がいて私もいる
ただ、次に同じ夢を見たときは
風が吹いている気がする。

7/17/2024, 1:42:11 PM