かたいなか

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「君と一緒に『するな』なのか、君と一緒に『◯◯したい』なのか。君と一緒に『された』とかもあるな」
個人的には、クリスマス前に足腰を捻挫だか肉離れだかして、おかげで正月までコレと一緒だったわ。
某所在住物書きは非常食としてのバランス栄養食品を、そのブロックタイプをポリポリ食べながら、スマホの通知画面を見ていた。
防災用非常食としての備蓄が、よもや2週間の傷病療養食になろうとは、考えもせず。
君と一緒で良かった。物書きはポリポリ、バニラ味をコーラで胃袋に流した。

「クリスマスから正月まで運動不足で、おかげで正月太り、まぁ仕方無い、しかたない……」
ダイエットを面倒に思う物書き。脂肪と一緒に歩む数年が、脂肪を減らす数年に変わる日は来るだろうか。

――――――

2024年が始まって、1週間。
「まだ」1週間なのか、「もう」1週間なのか、サッパリ分かんない状況が続いてるけど、ひとまず私は久しぶりに小銭をジャラジャラ持って、
それが原因で、1円玉を10枚くらいスられた。
まぁ、盗んだ人も、たった10円だし、地震の募金箱に突っ込んでくれてるんじゃないかな。

で。3連休の真ん中、ごはん作る気力がなんか突然消失しちゃったから、減塩低糖質料理が得意な職場の先輩のアパートにご厄介になりに行こうと思ったら、
アパート近くの茶っ葉屋さんで、そこの常連さんであるところの先輩と会った。
「たしかに私も、現金を持つ機会は昔より減ったな」
「募金とか、義援金とか、なんか理由無かったら、私今日現金持たなかっただろうし、10円スられたりもしなかったと思う」
常連さん専用の飲食スペースな個室で、先輩と一緒に今日限定の七草粥セットなるものを食べてたら、
個室のふすまを器用に開けて、看板猫ならぬ看板子狐が背中に、これまた器用に今月のイベントのチラシをくくりつけて、持ってきた。
こやーん(訳:おなか見せるのかわいいです)

「……話は変わるが、」
少しのお塩と、多分鶏ガラと、それから生姜とで味付けされたお粥をスプーンですくいながら、
子狐のおなかを撫で撫でしてた手を拭く私に、先輩が聞いてきた。
「宇曽野が、お前に私の故郷の隠れ観光スポットと隠れグルメを聞かれたと言っていた。事実か」
宇曽野とは、先輩の親友だ。隣部署の主任さんだ。

「だって、宇曽野主任、何回か先輩の帰省にくっついてったんでしょ?」
「まぁな」
「真冬の先輩の故郷で、いっぱい積もった雪にダイブして、本物の吹雪見たんでしょ?」
「そうだな」
「夏くっついてったとき、野生のナマの山椒とかマルベリーとか採って食べたって」
「うん」

「私も先輩と一緒に先輩の故郷ついてって、吹雪でアイタイカラーごっこしたい」
「冬はよせ。お前が凍る」

いいじゃんケチー。
七草粥の白と緑と、薬味な生姜の薄黄色を混ぜながら、ジト目で、口を尖らせて。
先輩はそんな私を見てため息なんか吐いてる。
「世辞でも付き合いでもなく、事実として行きたいというなら、私からも情報は出せるが」
先輩が言った。
「ともかく、雪に慣れていないなら、せめてホワイトアウトが少なくなる3月まで、待った方が良い」

「違うの。先輩の案内で、先輩と一緒に行くの」
だって先輩、何回か私のこと、誘ってくれたじゃん。
反論しながら私もお粥を、
食べようとして、ふと子狐の方を見たら、
どこから持ってきたのか、前足で器用に、ドッキリみたいな横看板を持って、私に見せてきた。

【3月1日でアカウント設立から1年!
後輩が先輩と一緒に、先輩の故郷の雪国に行ってフィナーレにしたいが、結末やいかに?!】
くるり。看板が裏返った。
【※配信お題により物語は変わる可能性があります】

1/7/2024, 6:09:13 AM