僕達は双子だ。
僕は弟で、一卵性双生児。
容姿も、体格も瓜二つ。
けれど、好みは全く違った。
僕は、砂糖を愛している。
高飛車そうな白い輝きを放つ結晶の彼女たちも、素朴さを残した褐色の彼女たちも。
あの甘さが、さらりとした質感が、どうにも僕の心を手放してくれないのだ。
市で砂糖を買ってきて、丁寧に丁寧に、綺麗に飾った瓶に詰める。
それをコレクションの中に収めて、光の乱反射する室内で僕は小さく笑った。
砂糖は腐らない。適切な環境に置けば、手入れも何も必要無い。愛しい彼女たちと、ただ過ごすだけでいい。
彼女らの身を借りて作った菓子なんかは何より甘く、とろりとした質感と甘い煌めきが僕の中へ染み入ってくる。
僕は、それが好きだった。
けれど、兄は反対に砂糖が嫌いだった。
兄は薬が好きなのだ。僕には、全く理解できない趣味だが。
薬を飲んでいる時の兄は、文字通り人が変わったようにおかしくて不気味だ。
何もない壁に話しかけ、笑い、床を這う蝸牛を愛しげに眺めたかと思えば踏み潰すのだ。はっきり言って気味が悪い。
でも、それでも兄は薬が好きらしかった。
例えば、毒々しいまでに人工的で無機質な白さ、効能だけを考えた機械的な苦味と妙な甘み。
特有の匂いも、愛おしいポイントらしい。
他にも、色とりどりの液体が詰まったサプリメント、顆粒薬の詰まったカプセル、所持さえ罪な白い粉薬さえ、兄は愛していた。
僕らは、2人とも性癖異常者だ。
砂糖も、薬も、摂りすぎれば毒になるのは変わらない。
けれどそれらを愛してしまった僕たちは、今日も2人、それを押し隠している。
僕が狂ったように砂糖を舐める横で、兄は薬の過剰摂取で涎を垂れ流している。
それを知る者は、誰もいない。
これは、彼女たちの存在は、僕と兄だけの、世界一醜い秘密なのだから。
テーマ:二人だけの秘密
5/4/2026, 8:09:33 AM