霜月 朔(創作)

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辛い時、何かから逃げたい時は、
当て所無く街を彷徨います。

街を行く人々は、
それぞれ様々な感情を抱きつつも、
僅かに不機嫌そうな顔で、
足早に行き過ぎて行きます。

そんな人の波に流されながら、
私も特別幸せでも不幸でもない、
街を行く、只の通行人の一人だと、
ショーウィンドウに写る自分に、
言い聞かせるのです。

どうせ、私が、
苦悩に満ちた顔をしていても、
例え涙を流していても、
すれ違う人は、誰も気に留めはしません。
私が、家を出て5番目にすれ違った人の、
顔や髪型や服装。そして表情は勿論、
年格好や性別すら思い出せないように。

街を彷徨い歩いて。
何時か、何処かに辿り着けはしないか、と。
私が私で無くなる日が訪れる迄。
私は俯き、一人歩き続けるのでしょう。



6/11/2024, 5:35:20 PM