【祈りの果て】

仕事中に見つめてくるアイツをロックオンして
バレないようにオレも見つめ返す。

オレに惚れたアイツは既婚者の外国人。
奥さんに隠れて下心丸出しの情を見せてくる。

オレにあたたかい缶コーヒーを渡してくるが
挙動不審にも程がある。
ペアの子と「バレバレだ」と笑って見てる。

いつの間にか始まったロマンスを
オレはゲームをするように少し楽しみながら
アイツをからかう。

週末にデートを誘われたが
「ごめんよ。土日も忙しくしているんだ。」と
オレは断った。もちろん嘘だ。
オレには『その気』がない。
いつの間にかオレを勝手に惚れこんでいた男なんて
興味が無い。

でも退屈な職場に
ちょうどいい『おもちゃ』が現れたので
オレはアイツの心をもてあそび続けることにした。

昨日の休憩時間が終わる間際に
バレバレの『偶然』を装って
アイツはオレに会いに来た。
そして誰もいないことを良いことに
アイツは突然オレの唇にキスをした。

本当にバカバカしい。
これで相手は『ゴール』だと思っているから。

そしてアイツは気づいていない。
すりグラスの扉越しで
オレ達のキスを他のヤツに見られていた。

はっきりした色のシルエットでよくわかる。
あれで言い逃れはできなさそうだ。

オレは「どうしよう…」と焦るふりをする。
そうやって危機感を持たせて
関係を終わらせようとしてる。

まあ、いいや。
なにか聞かれたら
「実は…」と少し嘘を紛れさせながら言って
「内緒ですよ…?」と口止めすればいい。
なんなら本当のことを話してもいい。
その気はさらさらないのだから。

さて、今夜は『大イベント』がある。
旦那が飲み会で楽しんでいる間に
オレはお兄ちゃんと夜を楽しむ。

まだまだこれから…♪

11/13/2025, 10:10:48 PM